【PC vs 父】初心者&高齢者の父にパソコンを教えてみたがすごく大変だった話

日常の中の体験談, PC・ネットに関すること

ゼロから始める文書作成

注:本ページは、高齢者&初心者にPC基礎を教えた際、まず初めにどういったことで時間がかかったかを中心に書いています。これから教える予定のある人に、こんな例もあるよとぜひ参考にしてもらいたい話。ちょっと長め。

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うちの父がパソコンを始めることになりました。

どうやら今年度は父が区長をやることになったらしく、ある日「こういう書類が必要でな」と持ってきたのがコレ。

すぐできそうな内容だしこっちで作ろうか?ときくと、せっかくだから全部自分でやりたいと。いつになく前向きな父です。

以前私が使っていたノートPC、使いたいと父が言っていたのでしばらく前に譲っていたのですが…そういえばあれから父はPCを使っていたのだろうか、

というか使えるのか?という不安が頭をよぎった瞬間。後ろから恐ろしい言葉が聞こえてきました。

「おい、これどうやって電源入れるんだ?」

父の電子機器スペックと目指すレベル

携帯

かんたんケータイ所持。電話以外の機能は一切使えない。予期しない画面や表示が出ると、見なかったことにして記憶から抹消するスキルを持っている。

PC

完全初心者。以前PCを使ってみたいと私のノートPCを持って行ったが、教本を買った時点で挫折(なんで?)。一度もPCを触っていないことが判明。

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操作を間違えるとすぐ壊れるときいている
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マツイ

いやそれどこからの情報なの

目指すレベル

こんな感じの案内状作成。インターネットは今後も使う予定がないので今回は除外。

 

まあこれぐらいなら、いくらPCが初めてと言っても大丈夫じゃなかろうか、とその時の私は思いました。

30分後、それはあまりにも浅はかな考えだったと頭を抱えることに。全然大丈夫ではありませんでした

 

PC初心者&高齢者の父が難しいと感じたことと、対応策や教訓

以前ワープロをさわったことがあるようですが、それもずいぶん昔の話。PCをさわるのは今回が初めてなので、父の頭の中は真っ白なキャンバスと同等、何一つPCに関する知識がありません。

よって、ありとあらゆることで失敗します。どんな小さな小石でも躓きます。ちょっと目を離したスキに瀕死になっていたりするのです。

マウス操作ができない

まず最初の問題は、ポインタを狙った場所に動かすことができない、ということ。

どうしても左上に向かって動いてしまう謎(下に動かすのが特に苦手)。画面上で動かす、というのがどうも想像しにくいらしいのです。

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いきなりビョンと動いたり動かなかったりでやり辛い。画面に直接マウスを置いてそれで動かすのはダメなの?
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マツイ

いやダメです。

のっけから大ピンチです。まさかのマウス操作のみで、父は挫折モードに入ってしまいました。

とにかくマウスが嫌だというので、試しにノートPCのタッチパッド(トラックパッド)を使わせてみたのですが…

なんとこれが驚くほどスムーズにできる。

 
なんで?なんでこっちのほうが上手いの?

 

ここでふと父の手元を見て、なんとなくその理由を理解しました。マウスの持ち方がおかしい。マウスに手を置く・掴むというよりも「指先でつまんでる」という感じになっているような…おっかなびっくり触ってるような?

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そもそもこの丸いの(マウス)小さくて動かしにくい、動かすスピードもわからん、シャッとやったら壊れるだろ?

ふむ。マウスが小さくてやりにくいと…手に合っていないってことかもしれません。確かに父の手は大きいわけでして、ってマウスは簡単に壊れないからね!

タッチパッドだと操作ができるみたいなのでしばらくそれでやってもらうことにして、後日大きめのマウスを買ってくることに。

教訓マウスの持ち方をしっかり確認すること。ちゃんと握っているか?左右のボタンの上に指を置いているか?
 
使いやすい、手にあったマウスを使うこと。マウスが小さく感じるのであれば、大きい物に変えるのも手です。

後日談:大きなマウスに変えたら、嘘のようにスムーズに動かすことができてました。かなり使いやすいとのこと。

 

クリック(特にダブルクリック)ができない

次にぶつかるのは、クリック問題です。狙ったところにポインタを合わせることができても、クリックが難しい。特にダブルクリックができません。

クリックとクリックの間が長いので、ダブルクリックにならないのです。カチカチッとやるべきところが、カチッ…カチッ みたいな感じ。

また、クリックするときにマウスが動いてしまうので、狙ったところでクリックされずズレてしまいます。イライラとストレスで「寿命が縮まる」とわめき始める父。

これは感覚をつかむまで練習あるのみです。

後日談大きいマウスに変えてしっかり握って操作ができるようになってからは、ズレることは無くなりました。
単純にマウス操作になれていないことと、小さすぎるマウス(父にとっては)で使い辛かったことが原因だったのかもしれません。

 

クリックに関しては、問題がもう一つ。

クリックとダブルクリックの違いが分からない、という点。どういう場合にダブルクリックになるのかが分からんと。確かにこれに関してはなるほどな…と思いました。

私たちはどういう場合にダブルクリックを使うのかなんとなく想像できますが、PC経験がない父にはその「なんとなく」が理解できないわけです。

ダブルクリック:ファイルを開いたり、ソフトを立ち上げたりする時に使う

シングルクリック:何かを選択する時につかう(次にいく、リンクを踏む、何かのボタン、等)

こんな感じに説明しましたが、もちろん理解してくれませんでした…

イライラとストレスで「寿命が縮まる」とまたもやわめき始める父。見ている私もたぶん寿命が2・3分縮まったと思います。

対応策よって、慣れるまで後ろで指示を出すことに。これに関しては慣れが大きいと思います。
実際、何回かやっていくうちにできるようになっていました。

 

基本用語が全く覚えられない

ディスプレイ・ポインター・カーソル・ダブルクリック・ドラッグ・スペースキー・エンターキー・フォルダ・アイコン…etc

基本用語が全く覚えられません。特にカタカナの用語が出てくると、父は得意の消去スキルを発動。完全にフリーズしてしまいます。

対応策慣れるまで一旦PC用語は封印し分かりやすい言葉に置き換えて説明していくことに。
 
ポインター → 矢印
カーソル → 光る線
ダブルクリック → 2回押す
ドラッグ → 押しながら動かす・色がつく
スペースキー → 変換ボタン
エンターキー → 四角ボタン    等々。
 
置き換えるようになってからは、すんなりと説明を理解してくれるようになりました。日本語最高。

慣れてきた頃 徐々に私からの説明に用語を混ぜるようにしたので、最近は父も用語を使って話すようになっています。成長著しく感動です。

ローマ字入力か、かな入力か?

ローマ字入力は覚えるキー数がかな入力に比べて少ないです。ので、初心者にはローマ字の方がやりやすいのでは?と進めましたが…

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ローマ字なんぞ絶対嫌だ!かな入力ったらかな入力だ!

ローマ字を激しく拒絶する父…一体過去に何があったのか。意志は鉄のように固そうなので、かな入力に決まりました。

初めは一文字一文字探しながらの入力なので、当然ながら時間がかかります。どちらにせよ文字入力は練習あるのみですよね。頑張れ父!

 

しかし1週間後。あっさりローマ字入力に切り替えているのを発見(切り替え方法は紙に書いて渡したものの、まさかあの父が自分で切り替えるとは…)。

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ローマ字入力にしてみたら字を打つのが楽になったじゃないか。かな入力は無理だ、もうやりたくない。なんで先に言ってくれなかったんだ…

あれほど激しくローマ字を憎んでいたのに…一体どうした、てか初めに説明したでしょうが!ってたぶん聞いてなかったんすね…まあいいや。

 

上記のことから

初心者にはローマ字入力のほうが覚えやすいというのは、やはり信用できる情報なのだと思います。覚えるべきキー数が少ないというのは、初心者には大きなメリットなのは確実です。

一説にはかな入力の方が早いという話もありますが、父は今後PCで仕事をするわけではないですし趣味の範疇なので、本人のやりやすさを優先することにしています。

 

一人だと教本を見ながら進めることができない

これは人によるかもしれませんが、父の場合は「教本を見ながら一人で進める」ということができませんでした。

父の言い分としては、

目指す形は決まっているので、まずはこれに必要な部分だけを優先してやりたい。でも教本は量が多すぎ。どれが必要でそうでないのかが分からない。

ということのようです(たぶん)。

父はPCの基礎・知識が云々というよりは、案内状を作るにはどのような手順を踏むのか、どんな勉強が必要なのかという情報にまず触れたかったのだと思います。

おそらく教本の導入部分だけでは理解できないことが多かったのでしょう。

最初から納得できてない、イメージができてない、ってことが問題だったということのようです。

うちの父は あまり冒険をしない保守的な性格が強いのですが、今回はそれが思いっきり足を引っ張る形となってしまいました。

対応策とりあえずやってみるということができない、しっかり理解しないと気になって先に進めない…という人には、教本選びはちょっと大変かもしれません。詳しい人が中身を見てよさそうなものを選んであげるのがベスト
 
これを作るには、こういう知識を身につけないといけないよ、こういった手順で覚えていきますよ、といった全体の説明があった方がいい。完成までのロードマップを示してあげることはとても大事だと実感しました。

 

私達の常識が通じない

普段、スマホやPCを使っている人なら通じるであろう話が、初心者である父には全く通じません。

知らない機能でも、説明を聞けばなんとなく理解できる人も多いと思いますが、経験のない父にはその「なんとなく」が無いので説明が難しいのです。

 

例えば、PCやスマホではウインドウは何個も開けますし、ソフト・アプリも何個も立ち上げられます。

しかし父には、ウインドウが重なって見えれば壊れたとパニックですし、バックグランドで他のソフト・アプリが動くというのも全く理解できません(説明はしましたがたぶん難しい)。

 

PCやスマホは完璧な機器ではありません。
私たちの意図を完璧に汲んでくれるわけではないので、別の画面にたどり着くこともありますし、時々挙動がおかしいこともあります。単純に自分の操作ミスのこともあるでしょう。

そんな時私たちは、前の画面に戻ったりウインドウを閉じたり再起動してみたり、変だな?と思った時は何かしらのアクションを起こせるわけなんですが…父にはすべて「壊れた」という場面にしか見えていません。

圧倒的に頭の中の引き出しが少ないんです。私達が感覚として持っている「前提」が一切ありませんので、容易につまづきます

対応策理解しているだろうとこっちが想像していることが、相手は全く理解していないことも珍しくない…というか大半がそのケースなので、一つ一つ順を追っての説明が非常に重要です。
丁寧すぎる説明でも足りない時があります。

 

PC初心者&高齢者に教えてみて感じたこと まとめ

今回初めて父に教えてみたわけですが

・話を聞いているようで全く聞いていない。
・少し不安かな?と思う時はほぼ理解していない。
・知らない画面や表示に出会っただけで硬直、もしくは壊れたと思ってしまう。
・PCはちょっとしたことで壊れると思っている
・操作を失敗すると壊れると思っている
・とにかく何かすると壊れると思っ(略

毎日上記のような感じ。とにかく、何をするにも不安で少しの違いでパニックに陥ります。よく分からない画面や表示をとにかく怖がっているのです。

完全初心者に教えるというのがいかに難しいかを思い知りました。

でもその中でも

・何度もくりかえし説明することをめんどくさがらない。時期が来ればちゃんと理解してくれる(たぶん)。
・丁寧すぎる説明でも足りないと心得る。
・理解できないことを責めてはいけない。
・教える側が諦めてはいけない。
・何か一つでもできたらとにかく褒めまくる(かなり有効だった)。
・「分かった!できた!」と実感できることを増やす。

という体験を得られたのはいい体験でした。

父はあれからかなりゆっくりペースでしたが一つ一つ覚え、見事案内状を作れるようになりました。ゼロから自力で!

PCに関しては戦闘力ゼロだった父が、ここまでできるようになったのです。

人間何歳になっても、学べば身につくんですねぇ。

 

そして今回つくづく思ったのですが。

パソコン教室の講師って神様かもしれない。色々な初心者の人に毎日教えてるんだもんなぁ…

父を相手にして倒れそうになっている私には、講師は絶対にできないだろうなと心から思ったのでありました。

 

ということで、今日の休憩はここまで!