朝起きたら屋根がなかった話

思い出

風

ちょっとした思い出話。

数日前知り合いの引っ越しを手伝いまして。
その引っ越し先が、築年数が結構経ってる一軒家なのですが、それを見てふと思いだしたことがありました。

表題の通り、朝起きたら屋根がなかったという話。

子供の頃、茅葺(かやぶき)の家に住んでいた

今の時代だと、「茅葺(かやぶき)って何?」という疑問も飛んできそうなのですが、茅葺というのはこんな感じの屋根のこと。

茅葺の家

昔話とかでよく出てきそうな家ではありますが、私の子供の頃はまだまだこういった家も多く、私の家もそうでした。
今はめっきり少なくなりましたねぇ。

古い家で結構広く、昔ながらの物がたくさんありました。囲炉裏(いろり)の跡もあったりで、とても面白い家だったと思います。

「これ何?」とよく祖父母や両親に質問しまくっていた記憶がありますが、今この場でタイムスリップしても当時と同じように質問しまくることでしょう。あの家を再現できるとしたら、ぜひとも家の隅々まで探検したいものです。

大型で強力な台風が大暴れ

その年のある台風は勢力がほぼ衰えることがないまま日本海を北上し、北海道に直撃するというコースをたどりました。(とにかく風が吹き荒れた台風だったとのこと)

かなりの被害をもたらした台風だったようですが、コイツが家の屋根を華麗に吹っ飛ばしていった張本人です。

天井の隙間から空が

天井
(こんな感じだった)

目が覚めた時、天井の隙間のキラキラした輝きに驚きました。

なぜこんな明るいのか疑問に感じつつ周りを見渡すと、父も母も姉も誰も見当たらない。

「???」

事態を呑み込めないままカーテンを開けると、マツイ家一同、近くに住む叔父一家、近所の人たち、なんだかたくさんの人が慌ただしく外で何かをしている様子。外はすごい風で、もうもうと土埃が舞っています。

窓を少し開けて、近くにいた叔父に声をかけると

「お前は姉ちゃんと向こうの小屋に行け!」とかなんとか叫んでる。

と同時に、姉が血相変えて部屋に飛びこんできて「小屋に行くぞ!急げ!」と。

いきなり寝起きにそんなこと言われても。
「朝ご飯は?」とか言っている私の手をグイグイ引っ張り小屋に向かう姉。
外に出た私は、事の重大さを理解しました。

屋根が無い。

さっきまで寝ていた部屋の上の屋根がない。そして足がふらつくほどの暴風。
小さな子供には立っていられないほどの風です。

強風で茅葺(かやぶき)が飛びまくった

台風

屋根ってこんな簡単に飛んじゃうの?というぐらい、軽やかに舞って散っていく屋根。気づけば半分近くが消失した様子。

木が根こそぎ倒れるぐらいの強力な台風だったわけで、家はなす術もなく敗北しました。

フルボッコ。もう勘弁してと泣いたって止まらないフルボッコ。

加えて、外にいた大人たちの顔が炭のように黒く、その異様な光景に宇宙人を連想した私はショックで大泣きするのですが、

単純に屋根の茅葺(かやぶき)から出るススやら土やらホコリやら、その他風で運ばれてきた様々なものに四方八方から襲われた結果で、ちょっと外にいるだけで黒くなったらしい。雨が降らなかったことが唯一の救いです。

この経験をもとに、のちに「黒い風が吹いた」という内容で作文を書いたところ、先生に「怖いという気持ちの比喩が素晴らしい」と高評価をもらいました。

いや先生、違うんです、物理的に黒かったんです!

修復できないダメージ

屋根の大半を失い、修復は不可能となりました。また新しく屋根に茅葺(かやぶき)を…とするよりは、建て替えを考えたほうが現実的だったらしく、次の年に家を建て替えることに。

実はあの古い家は、築80年ほどだったというから驚きです。

屋根が吹っ飛んだ状態でどうやって冬を越したのか、私はまったく覚えていないので母にきいてみたところ。
(むき出しになった所の)全体をトタンで覆うという荒業でしのいだらしく、「冬はとんでもない寒さで地獄だった」とか。

ストーブにあたるいい位置をめぐって、私と姉は取っ組み合いの喧嘩を繰り広げる毎日だったそうな。
何にも覚えてねぇ。

おわりに

まあ何が言いたいかっていうと

台風って本当に怖いっていうことと
屋根ってすごく大事だねってことですよ(← 当たり前

「へぇ~昭和時代の思い出かあ」と聞いていた知り合いはつぶやいていたのですが、いやいや、この話「平成」の話だから!

昭和とかそこまで昔じゃないから!と言いつつ、平成も30年あるという事実に今更ながら驚愕している、平成最後の夏の夜なのでありました。

小さい頃なので茅葺の家の記憶はあまり鮮明ではないのが残念。

今ではとても貴重になった茅葺の家。そういう民泊とかないかなと探してみたら。
興味深いところを見つけました。

電話がないので、予約は手紙でのやり取りだそう。すごい。
これは、言ってみたい場所に追加ですね。
 

ということで、今日の休憩はここまで!