地球上で最も黒い塗料、「ベンタブラック」の黒さがヤバい

自然・宇宙・科学

黒塗料

少し前にツイッターでも話題になった素材なのですが、「ベンタブラック」という塗料を知っていますか?

知っている人は知っているとても有名な塗料。この地球上で最も黒いとされる塗料です。

その黒さがすごいレベルで黒い(もう何言ってるか分からん)。

黒い塗料「ベンタブラック」とは

可視光の最大99.965%を吸収する既知の最も黒い物質。

【引用】Wikipediaより

光を反射するのではなく、「吸収する」物質だそうで。ベンタブラックを塗れば、その表面がわからない程…つまり私達の目では認識できない(光が吸収されるから)ほど、黒くなってしまうらしい。

…もはやブラックホールの域。

開発会社はイギリスのSurrey NanoSystems
(素晴らしいことに日本語版HPもあります)

怖さを感じるほど黒い!ベンタブラックの脅威の力

これは実際に見ないと、ヤバさが伝わらない。
公式のツイッターでベンタブラックを見てみよう!

 

…合成じゃないよ…ね?

フォトショで切り取り加工した画像そのまんまではないですか。

 

完全に一致。
(注:写真はマツイではありません)

 

光を吸収してしまうから、表面の凹凸すら分からないってことなんですね。

すごいというか 怖い。

これ手に塗ったらどうなるんでしょう。
これを塗った服を着たら…?
(実際には、危険があるため直接触ることはできないそうです)

想像以上に黒すぎて、とても現実のものとは思えません。

 

ベンタブラックの用途は?

さて、こんな驚きの黒を生み出すベンタブラック。
宇宙開発や映像関係をはじめ様々な分野への応用が期待されています。その中には軍事への展開もあるのではという噂も…。

スイスでは、超高級腕時計の文字盤に使用された例もあります(漆黒の背景に文字が浮かんでいるように見えるらしい)。

 

そういえば記憶に新しい平昌オリンピックでは、地球上でもっとも黒い建物として「ヒュンダイ・パビリオン」が公開されました。

カーン氏が「宇宙の分裂」と呼ぶ同パビリオンは、曲線状の4面の壁に何千もの小型ライトを散りばめて星空を表現した。五輪開幕を前にカーン氏は、「ビルに近付くと星空が視界全体を覆い、中に入る時は黒い雲に吸収されるような感覚になる」と解説。純白の冬季五輪とは対照的な黒さで「無限の空間と可能性」を体感してもらうことによって、訪れる人に哲学的経験を味わってほしいと話している。
【引用】cnn-「世界一黒い物質」でできたパビリオン、冬季五輪に登場

黒い雲に吸収される感覚とは…一体どんな建物なのか体験してみたいものです。

 

誰か日本にも、ベンタブラックを活かした建物つくりませんか。

 

ベンタブラックの黒が「黒すぎ」て負傷者が発生

ポルトガルの美術館で、アニッシュ・カプーア氏がベンタブラックを使用して絵のような落とし穴を作成、そこに客が落ちるという事件が発生。

どこの漫画だよと思ってしまう話ですが、すべて現実の話でした。

ベンタブラックは塗るとすべてが2次元に見えるほど真っ黒。その特性を利用し、ベンタブラックを落とし穴の内側に塗って「穴に見えない落とし穴」をつくったということですね。

で、本当に穴なのかどうか確かめようとした人が見事に落ちてしまったと。

君たちは一体なにをしてるんだ。

 

幸い軽傷だったそうで良かったですが、どうして落とし穴を素材に選んだのかな…(困惑

 

ところでこの穴を作成したアニッシュ・カプーア氏、ベンタブラックの独占使用権を獲得したことで知られる彫刻家です。「材料の独占とはいかがなものか」と様々な方面から反発があり物議を醸しました。
 
彼がどのような作品を作っているのか興味のある人は、検索してみるといくつか画像を見ることができます。

 

 

おわりに

残念ながらベンタブラックは、現在(2018年)個人で買うことはできません。独占使用権を持つアニッシュ・カプーア氏は例外…ってそう考えれば独占使用権ってスゴイ。

学校・大学・博物館であればそのサンプルを取り寄せることができますが、密閉したサンプルなので「塗料そのもの」ではありません。またライセンス書類に記入後4週間がかかる…等々管理が厳しいようですね。
Surrey NanoSystems FAQs

黒の中の黒…一度ぜひこの目で見てみたいものです。

 

ということで、今日の休憩はここまで!